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長年物語の顔であったモーターヘッドのデザインを捨て去り、ゴティックメードとともに新生したFSSだったがその一方で原点回帰とも言える動きも見せている。

・ゴティックメードにおける射撃戦の導入
ニュータイプ5月号の連載再開によってモーターヘッドがゴティックメードに変わったという事実はあまりにも衝撃的だった。その再開1話目のエピソードは「今までとは違う」ということの主張を最大限に意識して描かれている。オートマチックフラワーズ、アシリアセパレート、そしてガットブロウによる射撃戦である。映画「花の詩女 ゴティックメード」でもモーターヘッドのように剣で切り掛かるGTM戦は描かれていたが、今回はあえて射撃戦のみを描いた。

第3話以降、RPGの流行に影響を受けたFSSはスターウォーズの影響から始まった光剣から離れ、日本刀などの実体剣による戦闘にシフトしていった。
そんな騎士ロボによる格闘戦路線も大規模な集団戦を描いた魔導大戦のフィルモアVSメヨーヨ戦で極まった感がある。
またモーターヘッド終了の一因にもなったと予想される事だが、ライトセーバーやビームサーベルはとうに廃れ、実体剣を持ち格闘戦を行うロボットも一般化した。

元々FSSにはパイドルスピアという武器の設定があり、3960年にジュノーでヤクトミラージュ・グリーンレフトが破壊されたのもこの武器の広角射撃が威力を発揮したという説もある。
もっと言えばLEDミラージュの主力武器は剣ではなく火炎放射器である。
またバスターファウストを装備したクロスミラージュのビジュアルなどもあることからも、モーターヘッドはただ剣劇をこなすだけのロボットだという意識は、そもそも永野護の中にはなかったのではないだろうか。

AUGE VS エンゲージSR1の戦いに乱入したエンゲージSR3は腕にランチャーを装備して射撃を行っていた。これをエルガイムオマージュのファンサービスととることもできようが、ある種射撃戦導入に向けての実験のようにも見えなくもない。
12巻まで描いてきて当初のスタート地点からだいぶ離れていたのをデザインの変更とともにリセットしたのではないかと感じる。

・AFシェル内のファティマ
モーターヘッドではファティマは頭部の中で着座してコンソールのキーボードを弾いて制御を行っていた。
それがゴティックメードではあたかも磔になったかのような状態で制御を行っている。
これは永野が描いたイラスト「デスアンカー」としても知られる、ヘビーメタルのシンボライズド・コンピュータの描写である。

第6話パート3のact2においてイーストハスハに飛来したGTMゲートシオン・マーク2(これまたエルガイムMk-2のGTM版という姿)の額には、中にいるAFオーハイネのシルエットが浮かび上がるという描写もされていた。

この描写は「重戦機エルガイム」の世界観の根幹を作った永野護と映像作品の監督である富野由悠季の二重性によって闇に葬られたものである。それが今こうして蘇ってきたのも永野の原点回帰を感じさせる。

・ファイアウィッチの復活
最後にファイアウィッチの話をしようと思う。ファイアウィッチとは1986年に発表されたカレンダーに描かれた破壊の魔女である。FSSにおいては第1話にわずかな出番があった。
死してなおアマテラスを見守る最初の妻、メル・クール・リトラー。あの派手な姿がファイアウィッチのイメージである。
第1話でソープがラキシスを迎えた事で役目を終えたはずの彼女がここに来てクローズアップされた。

「あらたまの詩女」
「炎の使者 あらたま」
ニュータイプ誌の付録カレンダーで初登場し、FSSトレーサーEx2で公開された名は、読むものを幻惑させるような解説文によって、彼女は何者なのかという大きな謎を残した。
また連載休止後に発表されたスクールデザインズにもリトラの記述はあった。(この手帳、ただのファングッズと思わせておいて現在の設定改変に踏み込んだ記述も早いうちから散見される書物なのだ)

現在公式サイトに掲載されているアマテラスの帝の解説文に
”聖宮ラーンが全力で送り込んだ「あらたまの詩女」を妻とし"
とあるように、連載再開によって公開された新たな情報が忘れられていたリトラを再びFSSに呼び戻した。

聖宮ラーンに関しては未だ語られていない部分が多い。
またアマテラスという、人間の世界に出現した異物、「光の神」とは何者なのか。
リトラの存在がこれからの物語に与える影響は大きいだろう。


9年の長きに渡る休載中、永野は物語の動脈硬化を起こしつつあったFSSに新たな息吹を吹き込む為の様々な試みを行っていた。
その結実として映画「花の詩女 ゴティックメード」が存在する。
新生FSSのプロローグとしての映画であり、新デザイン「ゴティックメード」のデモンストレーション。
構造、動き方、音、機能、それらを余す事なく映像で表現する事が目的。ロボ描写が少ない、戦闘シーンが短いと言われようが、必要はすべて満たしているのだ。
ロボットチャンバラを見せるのが目的ではないのだ。(最もそれに近いオージェVSアパッチ戦を書き終えた後にこんなのただのロボット漫画だと永野はぼやいている)

FSSの連載開始の1年前に描かれた永野の漫画デビュー作「フール・フォー・ザ・シティ」はコンピューターに管理され、ロックミュージックが禁止された社会に生きるミュージシャンが禁止された文化を守り伝える「継承者(サクセサー)」とともにロックの復活を目指す物語だった。しかし彼らは最終的にロックの復活よりも自分なりの音楽の創造にシフトしていった。(マシンチャイルド・ログナーはそれを「馬鹿は馬鹿なりに」と評した)

一般化し、古典となったモーターヘッド・デザインの継承者でいる事を拒み、ゴティックメードを創造する永野の行為はデビュー作で発したメッセージそのものだ。

原点回帰し、過去から蘇ってきたイメージとともに作り替えられた世界を最新のデザインが躍動する。
変わっていくものと変わらないものが入り交じりながら、FSSはこれからも続いていく。
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